再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

週が明け、仕事の合間に美桜の働いている惣菜店に寄ってみた。
しかし、配達に行っているのか店内に美桜の姿はなかった。
閉店後にまた来てみようと、弁当だけ買って店を出た。

夜、再び惣菜店に行き、仕事を終えた美桜を強引に食事に誘った。
こうでもしないと話も出来ないと思ったからだ。

行きつけのバーに美桜を連れて行くと、マスターの朔斗さんがニヤニヤしながら話しかけてきた。

「哲平くん、いらっしゃい。珍しく今日は一人じゃないんだな」

その顔はやめてくれ。
いろいろ悩みを聞いてもらっているから、余計なことを言われそうで素っ気なく返事をした。

俺がパスタを食べている間に美桜の酒はどんどん進む。
美桜はマスターとも話し出し、すっかりリラックスした状態になっていた。
顔が赤くなっているから飲み過ぎだと忠告しても大丈夫だと言い張る。
真剣な話をするのに酔っぱらってしまっては困るので、一旦、酒を遠ざけた。

俺はずっと持っていた桜のピンをポケットから出してカウンターの上に置いた。
「覚えているか?」と聞くと、美桜もそのピンのことを覚えていたみたいで、俺の顔を見る。
あの時のことを誠心誠意謝罪した。
許してもらえるかは分からない。
だけど、あの暴言を吐いてしまった経緯を話してからピンを返そうとずっと心に決めていた。

美桜は笑顔で「ありがとう。謝ってくれたから許してあげる」と言ってくれた。
俺は安堵から大きく息を吐いていた。
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