再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
テツが住んでいるのは高級マンションの八階だ。
私は初めましてならぬ、二度目ましてになる。

部屋は2LDKで余っている部屋があるので好きに使っていいと言われて、お言葉に甘えて一部屋を使わせてもらっている。
元々、そこは荷物置き場だったみたいで段ボールしかなかった。
私が快適に住めるようにテツがいろいろ買い揃えてくれた。
何から何までしてもらって感謝しかない。

モノトーン調で落ち着いたシックなリビングは二十畳ぐらいはある。
目に入るもの全てが高級そうに見える。
いや、間違いなくあの革張りのソファは高いと思う。

同じ二十五歳なのにどうしてこんなところに住めるんだ?と驚いた。
聞いてみたら「兄貴が結婚したから俺がこのマンションに住んでいるんだ」と。
そういえば、テツには六歳上のお兄ちゃんがいた気がする。
年が離れているので、私の記憶にはあまり残っていない。

この部屋で過ごすようになってすぐの頃は、外出するのも周りの目を気にしながら警戒していた。
でも、二週間以上が過ぎても斉藤さんと遭遇することはない。
やっぱり私の勘違いだったのかも知れない。
そう思ったら、自意識過剰すぎて恥ずかしくなる。
おばさんに連絡したら、斉藤さんは次の日に私のことを聞いてきたけど、仕事を辞めたと伝えたら「そうですか」と言っただけで別に変わった様子はないらしい。
今も普通にお弁当を買いに来ていると言っていた。
その頻度は前に比べたら減ったらしいけど。
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