惑星のダンス
そんなわけで週末である。

よくよく考えたら互いの立場で週末デートとかやばいったらないんだが、待ち合わせ場所に登場した愛を見てその心配はなくなった。

男装である。どこからどう見ても男である。

最初天は愛を認識できず、肩をつつかれて三秒ほど考え込んで、叫びそうになった口を慌てて押さえたのだった。

長い髪をどうまとめたのか、短い黒髪のウイッグに、目深に被った帽子。普段より浅黒い肌、すらりとした体型はこうなるとひょろいとしか思えない。胸だってないわけではないのに膨らみはどこへやら、男子高校生にしか……ごほごほ。

「俺は女装でもしてくればよかったか?」

「無理がある」

答える声まで低い。どうなってるんだ。

「天野って呼んで。僕も山瀬って呼ぶから」

「……はい」

もう愛じゃないみたいだ。僕。僕! しっくりきすぎていて辛い。
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