Breath
お昼ご飯を食べた後、ベンチに座ってたんだけど、お化粧を直したくて洗面所に行こうとしたら、すれ違った男の人が

「凛彩?」

って言ったんだ。

私はびっくりして振り返ったら、そこには高校の時大好きだった先輩が居た。

「凛彩、久しぶり。綺麗になったね。」

って言ったんだ。

すぐに結翔の方を見ると歩いてこっちに向かってた。

「あ、彼氏?」

「いえ、違います。」

「彼氏です。」

結翔ははっきりそう言った。

先輩はニコニコして私と結翔の顔を見ながら

「凛彩、今何してるの?」

「美容師の卵です。」

「まじ?俺と一緒じゃん」

今日は月曜日だからほとんどの美容院は休みだよね…


「じゃ、またね。」

と先輩は手を振って歩き出した。

「…」

「知り合い?」

「うん、高校の時の先輩。」

「ふうん、呼び捨てする仲なんだ…」

「そんなんじゃないよ。」

私は何かすごく悲しくなって来て、トイレに駆け込んだ。

別にやましいことなんかしていないのに、不安で一杯だった。

やっぱ来なきゃよかった…

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