【短】星のカケラが海に落ちた
そうして、ゆらりゆらりと緩やかな小波の中から這い上がってきた彼に、彼女は心配そうに視線を合わせてくる。
「蒼月、大丈夫?」
「ん。ちょっと今回は痛かったけどね」
「なんか、切ないね」
「でも、きっと願いは届くよ」
「だといいんだけどな…」
二人はどちらからともなくそっと寄り添った。
そんな二人を見つめるように、月はストロベリーのように、甘く優しく輝いている。
「今夜も月は綺麗だね…」
「怖いくらいにね」
「でも……」
「私たち、幸せだね」
くすくすと楽しそうに笑う彼女。
そんな彼女につられるようにして、彼も微笑む。
「幸せだね…」
「うん」
幾千幾万幾億…。
気の遠くなるくらいの時空を超えて、此処にやってくる言の葉は、どれも最後には甘く熟れた優しい願いへと変わっていく。
それが、この二人の天使たちにはとても幸せなことだった。