【完】ファムファタールの憂鬱


どこから見ても、ふわふわの毛並みのいい美しい子猫。


その姿は、私にはとても不釣り合いな容姿で、そんな所でまた落ち込む。


実際の私は、そんな華やかじゃない。

真っ黒なストレートな髪は、一度も染めたこともなくパーマを当てたこともなく、サラサラだけれど地味。

いつも使っている白い髪飾りは、レースにパールが施されていて、お気に入りだけれど、どこかパッとしない。

肌は色白で、まだマシだけど、顔立ちはどちらかというと日本人形っぽくて、やっぱり…地味。

そう…。
私はどこまでもごくごく普通の女子なのだ。

それに加えて、恋愛経験だって全くのゼロ。

勿論今まで好きになった人は一応いたけれど、まさかこんな体質を曝け出すことはなんてできず、当然諦めてばかり…。


だから、恋愛というにはノーカウント。



で、それらを総合して言うと、…私はモテない。
まぁ、こんなに平々凡々な私がバンバンにモテていたら、世界中の美女にボコボコにされるくらい怒られてしまうけれど…。


少し前に、それを親友の花音(かのん)に言ったら、深い溜息と共に、


「自覚がないって怖いわねぇ…」


とだけ言われた。


何故?
そう聞きたかったけれど、花音はそれだけ言うと、同じゼミの彼氏の元に行ってしまって、私の疑問は音にならずに足元に落ちた。


だって…。
皆、私を見ると逃げるようにして道を開けるんだよ?
ひそひそと何か言われたりするんだよ?


これはもう…嫌われているとしか思えないじゃないか…。



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