飛鳥くんはクールなんかじゃない



すごい。なんだかとっても不思議。



「ん?」


私の様子に気がついたのか、飛鳥くんが私の顔を覗き込んできて思わずふふっと笑った。



「飛鳥くんと手を繋いで、この花火大会に一緒に来られるなんて夢みたいだなぁって」

「……またそうやって可愛いこと言う」

「か、かわ……っ」

「あーもう、すぐ照れるのやめろ」



ボッと顔が熱くなる私に、呆れたように飛鳥くんは笑う。


だ、だって……、慣れるなんて無理だよ。可愛い……とか、そんなこと言われたら誰でも照れちゃうのは仕方ないと思う。



「いままでだって思ってた。口にはしてこなかったけど、これからはちゃんと言うから」



だからいちいち照れるな、と。


そう言った飛鳥くんに私がやっぱり照れたのは言うまでもない。



< 254 / 271 >

この作品をシェア

pagetop