願い婚~幸せであるように~
こういうときはどう返したらいいのだろうか。「そうですか」としか言えず、幸樹さんを横目で見る。彼は膝の上に置いていた私の手を握った。


「確かに付き合ってはいたけど、過去のことだから。今日は資料を受けとるだけのために会った」

「資料なんて、送ってもらえばいいと思うけど。なんでわざわざ夜に会うの?」


幸樹さんを非難したのはすみれである。私もすみれに同感だ。急用だと言っただけで誰と会うとも言ってくれなかった。

言うようなことではないと判断したのかもしれないけど、故意に隠したのではないかと思ってしまう。


「気になっていた内容の資料だから早く見たくて、送ってもらうよりも手渡しされたほうが早いと思った。仕事後に会うようにしたのは……」

「私が誘ったのよ。結婚したと聞いたから、お祝いに奢らせてと。それと、結婚がいいものなのか教えてって頼んだの。実は付き合っている人からプロポーズされて、結婚に魅力を感じないから返事を保留にしているの。どうしようかと迷っていてね。で、幸樹から話を聞いたら決められるかなと思ったんだけど……ごめんなさいね。新婚さんを誘うべきじゃなかったわね」


幸樹さんも小橋さんもそれほど深く考えずに、『教えて」『いいよ』になったのだろう。
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