願い婚~幸せであるように~
窓から流れる景色を眺めていた彼が呟くように話す。


「俺の願いは昔も今も変わらないんだよね」

「ん?」

「和花が幸せであってくれたらいいと、ふとした時に和花の笑顔を思い出していた。俺の心の中にはずっと和花がいたんだ」

「うん、ありがとう。きっと幸樹さんが願ってくれていたから、私は今幸せでいられる。私たち、また出会えて本当に良かったよね」


肩に預けていた顔を起こして、幸樹さんの横顔を見る。彼も私の方を見て、頷く。幸樹さんの願いは今私の願いにもなっている。

私も誰よりも彼の幸せを願っている。私が幸せなら、幸樹さんも幸せだと信じながら。

目を合わせたままで、幸樹さんは顔を近付けた。彼の温かい唇が私の唇に触れる。ふわっと心まで温かくなる。


「ずっとこの幸せが続くようにしたいね」

「うん、続くようにしようね」


ふたりの願いはひとつ。

幸せがずっと続きますように。

この日の夜はいつもよりも幸樹さんの温もりを感じながら、ぐっすりと眠った。私は結婚してから時々見ていた嫌な夢を一度も見ていない。
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