願い婚~幸せであるように~
書斎というか、まだ用途をハッキリと決めていない部屋に幸樹さんは行く。備え付けの棚には、お互いの本が並んでいて、小さなデスクと大きなクッションが置いてある部屋だ。

寝室の向かい側にある部屋だが、広さは五畳と小さめ。リビングと寝室が広すぎるから、その狭さが逆に落ち着くかもと昨日、本を並べながら思ったのは、幸樹さんに内緒のこと。

彼は広い家の広い部屋で長年生活していたから、私の思うことは理解できないであろうと、あえて言っていない。


「いい匂いがするね」

「あと少しで焼き上がるので、待っていてくださいね」

「うん。カトラリー、並べるね」


思いの外、早くに仕事を終えた幸樹さんはカトラリーを並べたあと、グラスも用意した。

座って待っていてくれていいのにと思うが、積極的に動いてくれるのはありがたい。優しい旦那さんだ。


「うん、美味しい」

「良かった」


オーブンレンジは去年買ったばかりのお気に入りだからと、ここに持ってきた。アップルパイもこれで焼いたと話したら、ぜひ持ってきてと幸樹さんは言った。

そして、今夜は鶏肉とポテトのチーズ焼きを作った。あとは、サラダとオニオンスープとフランスパン。
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