願い婚~幸せであるように~
ここでもまさか『園本』姓を言われるとは……。この人も昔の私を知っているのだろうか?

そういえば、受付の人も茅島さんだった。このふたりはなにか繋がりがあるのだろうか?

「あっと、いけない。……申し訳ありませんが、このあと会議の予定があるので、取り急ぎ挨拶だけで、失礼させてもらいます。山口さん、無事出産されることを祈っています。がんばってくださいね。平原さんは、またゆっくり話をさせてください。では……」


腕時計で時間を確認した茅島部長は会議時間が近いようで、急ぎ足で出ていった。


「あー、やっぱりイケメンの子が生まれるかも! 茅島部長に気遣ってもらえるなんて、最高にうれしい」

早奈子さんは興奮して、またお腹をさする。出産予定日まであと一か月で、来週から産休および育休に入る。

そのための業務引き継ぎで、今日ここに挨拶に来ていた。他にもいくつかの取引先に挨拶に行っていて、ここが最後となっている。


「山口さん、さすがおもしろいですね。でも、きっと元気いっぱいのお子さんでしょうね」

「あ、私もそう思っています。早奈子さんが
こんなにも元気なんだから、絶対元気な子だろうなと」

「やだー、ふたりともそんなことを思ってくれていたなんて。でも、そうね。私も元気な子が生まれるという自信はあるのよ」
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