ママの手料理
という、久しぶりに聞く銀河からの命令が聞こえた。


『まじで!?よっしゃあ航海、今の聞いた!?今すぐ4階行くよ、待っててね琥珀!』


それと共に聞こえてきた大也のハイテンションで割れる程の大声を、壱は真顔で聞き流した。


『くれぐれも怪我のないように頑張れよ、俺も頃合いを見て向かう。…にしてもこのスルメイカ、美味だぞ』


その言葉の直後、銀河はプツリとイヤホンの電源を切ったものの。


「ふっっざけんなクソ野郎、何俺のスルメイカ食ってんだよ宇宙の塵になれ粗大ゴミが!」


壱の怒りは、新たな方向に角を伸ばしていた。







「航海、こっち!ここに非常階段がある!」


俺ー伊藤 大也ーは、あと少しで琥珀と会えるという喜びから半ばハイテンションになっていた。


2階には残された敵は僅か数人で、その数人と真顔で間合いを詰めている湊は、どこか余裕そうな雰囲気を醸し出していた。


息切れひとつしていないその姿からは、自分の力に対する圧倒的な自信が感じとれる。



そんな中、


「お待たせしました、大也さん。4階まで直行しましょう!」


何処で手に入れたのか、フライパンを武器代わりに右手に持った航海が俺の元に到着した。


「よし、行こう!」


俺は勢い良く非常階段のドアを開け、2段飛ばしで階段を駆け上がって行った。
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