ママの手料理
2階でイヤホンに向かって嘆く湊の声や、


『いいぞサイコパス、そのまま裸眼で闘え!早く血を目に入れろ!』


と、ガッツポーズをして語気を強めながら吠える銀子ちゃんの声が。






「お前ら何処から湧きやがる!死ねと言ったら死ねよクソ共!」


ようやく辿り着いた4階では、壱と琥珀が離れた場所でそれぞれOASISを片っ端から倒しているのが目に入った。


既に、航海は壱と共にOASISの相手をしている。


「琥珀ー!助けに来たよ大好きー!」


だから、俺は迷う事なく愛する彼の元に走って行った。



琥珀が相手をしているのはざっと見て10人程で、近くには何十人ものOASISの死体や怪我人らが転がっている。


琥珀は所々から血を流しているものの、それらは全て軽症の様で。


(こんな大人数を1人で…しかも右手が使えないのに…凄すぎる)


思わず拍手をしてしまった俺に、


「お前、何しに此処に来たんだよ!拍手は要らねぇから早く手伝えゴミが!」


息切れはしているものの、いつもの琥珀の喝が飛ぶ。


「あ、ごめんってー」


琥珀とこうして2人で闘う事は、幸せ以外の何物でもない。


琥珀と背中合わせになった俺は、後ろから聞こえる激しい息遣いを自分の胸の高鳴りと重ね、目の前に立ち塞がるOASISに向かって微笑んだ。


「俺の琥珀とこんなに長い時間一緒に居るなんてふざけんな!とっとと失せろ!」
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