アンバランスな苦悩
「瑛汰、犯罪だよ
それじゃあ

責任とるのは瑛汰のほうじゃない!」

責任とっていいなら
さっさと責任とりたいけど?

スミレとはそういう関係じゃないから
責任のとりようがない

…とは
お袋には言えないな

「大人しそうな顔して…
やることはやってるのね」

ぼそりとお袋が言葉に

冷静に話をしようと思っていた
考えが吹き飛んだ

「やること
やってねえから
こんなに苛つくんだよ!

騙されるもんなら
騙されてぇよ

スミレなら
何をされてもいい

やっと俺の気持ちを
受けいれてくれたのに

お袋に嫌われるって
キスひとつさせてもらえないんだ

夜、部屋に言ったって
腹をけられて
追い出されるんだ」

母親にいうセリフではないと

叫び終わったあとに
思った


思ったけど
すでに言った言葉を

修正液のように
消すことはできない

みるみる
自分の顔が赤くなっていくのが
わかる

頬が熱くて

穴にでも入りたい気分だ

次に言う言葉も見つからないまま
俺は逃げるように

部屋に飛び込んだ


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