アンバランスな苦悩
赤い派手な鞄が
ベッドの脇にある
棚の上に置かれてあった

あの中に
刃物が入っているのだろうか

俺が電話をしなかったら

桜さんは
何をするつもりだったのか

スミレが怪我をしていたのだろうか



なあ
桜さん

貴方は
俺に何を求めている?

俺に何をして欲しい

桜さんの
望むように

体を抱いている

求めるように
愛撫する

それ以外に
何を
俺から取ろうとしているんだ?

何があっても
俺の心はあげない

桜さんが求めても
欲しがっても

俺は心だけは
あげたくない

スミレを好きな気持ちは


その気持ちだけは


奪われたくない
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