アンバランスな苦悩
放課後に
会議なんてない

嘘をついた

俺はこれからいったい
どれだけの数の嘘を
つくのだろうか

自分の心にも嘘をついて

これからどうやって
生きていこう

保健室の窓を明け
俺は最後の煙草を吸った

どこで新しい
煙草を買おうか

桜さんの
マンションへの道中を
思い出していた

「保健室って禁煙でしょ?」

マコがずかずかと
室内に入ってきた

放課後の保健室は
夕日で
オレンジ色になりつつ
あった

「吸いたくなった」

「我慢のできない男ね
最低」

マコは回転椅子に座って
腕を組んだ

「私の推測だけど
瑛ちゃん

私のお母さんと
何かあるでしょ?」

「何も
桜さんがどうかした?」

「嘘をつかない
私は真実を知りたいから

むかつく男がいる部屋に
来てやったの

最低男を
殴るのを
我慢して
口をきいてあげているんだから

ちゃんと話しなさいよ」

マコは察しやすいし
頭がいいから

こういうとき
困る

でも真実を
言うつもりはない
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