アンバランスな苦悩
「ごめん」

「缶ビール
その頭に向かって
投げていいかしら?」

マコらしい言葉に
俺は思わず噴き出した

「お好きにどうぞ
ただもう救急車は勘弁ね」

「瑛ちゃん
マコこそ、ごめん
何も知らないとは言え

守ろうとしてくれてたのに
酷いこと
たくさん、言っちゃった

でも私は悪くないけど」

「本当は
言わないで
桜さんと一緒に
姿を消そうと思ったんだけど」

「うわ
さらにむかつく」

「スミレには絶対言うなよ」

「それは…約束できないな~
彼氏とうまくいっているみたいだし

今日は言わない自信はあるけど
明日からは…どうなるか」

「言わないで」

「嫌だよ~」

「言うな」

俺はマコにクッションを投げた

マコは身軽によけると
俺に飛び膝蹴りを
腹に入れる

ソファの上に押し倒されると

俺はマコに平手で叩かれた

両頬を数回叩くと
動きを止めて

俺を見つめた

「本当に頭にくる

母親と関係をもった最低男なのに
まだこんなに好きだなんて

守ろうとしてくれようとしている
瑛ちゃんが格好良く見える

むかつくけど
好きだよ」

マコは俺の胸倉を掴むと
俺の上に跨ったまま

キスをした
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