アンバランスな苦悩
マコの長い髪が俺の上に落ちてくる

1度目は軽いキス
唇が触れた程度

2度目は
互いの舌を絡めた

「瑛ちゃん
好きだよ」

「……お姉ちゃん?」

マコが勢いよく起き上がると
俺の上から落ちるように
離れた

「スーちゃん
ど、どうしたの?

デートは?」

俺はゆっくり起き上がると
スミレの顔を見た

信じられない光景に
スミレは動揺しているようだった

「今日はもう終わりにしたよ
お姉ちゃんとお夕飯を食べようと思って」

「そ、そうなんだ」

マコが居心地悪そうに
髪を整えながら
答えた

「じゃ、俺は帰るよ
桜さんのところに行かなくちゃだから」

俺は立ち上がると
一人で玄関に向かった

これで
俺は完全にスミレに嫌われた

杉田と上手くいっているようだし

これで良いんだ

俺はスミレに嫌われないと
心が折れて

桜さんより
スミレを選んでしまう

それだけは
しちゃいけない
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