アンバランスな苦悩
「早く明日にならないかな」

スミレがベッドから起き上がった

「そろそろ行かないとね」

「ああ午後の授業に
遅刻するぞ」

「さぼっていいなら
瑛ちゃんといたいけど?」

「それはダメだ」

スミレは肩をすくめると
ベッドの上に散らかった
制服に手を伸ばした

着替え終わるのは
俺のほうが早い

先に机に行き
散らかっている弁当を片づけた

「順子たちって
遊びに来てるの?」

「ああ
放課後に丸山と一緒にな

菓子を食い散らかしてから
帰る

一度も掃除をしたことないから
そろそろ
追い出したんだが

保健室の居心地の良さを
知られた」

「順子がね

小泉はノリがいいから
からかうのが楽しい

って言ってたよ」

カーテンの向こうで
着替えながら
スミレが話す

「呼び捨てかよ!」

「私も一緒に
保健室でお菓子を
食べようかな?」

杉田とデートはいいのかよ

まだ続いているんだろ?

「いいよ
俺はいつでも
大歓迎だ」

俺は心にもないことを
言う

「本当に?」

「ああ」

ベッドから降りてきたスミレが
満面の笑みで
俺にキスをした

「じゃ、放課後ね」
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