アンバランスな苦悩
スミレは
この関係を誰にも
離していないようだ

マコにも
光汰にも

話してなくても
マコは気づいているかもしれない

何も言ってこないけど

ときどき
スミレを見る目が
とてもつらそうだった

「瑛ちゃん
明日は金曜日だよ」

「ああ
真っ直ぐ帰るよ」

「早めに部屋に行って
いいんでしょ?」

「待ってる」

スミレは嬉しそうに
頷いた

金曜日の夜は
何かと飲み会が入る

だから
桜さんの家には行かないと
言ってある

桜さんの家から
自宅に帰る時間はいつも決めている

だから
飲み会があると
全く会えなくなるか
ほんの数分程度
家にあがるだけとなる

それなら
最初から行かないと
決めた

桜さんにも
納得してもらった

だから
毎週金曜日は
スミレと長い時間
一緒にいれた

「マコは平気なのか?」

「うん
最近は
家にいないことが多いんだ」

マコなりに気をきかせているのだろうか

マコは察しがいいし
気まわしが良い

もしかしたら
俺たちの関係を知って

わざと
家を空けるように
しているのかもしれない
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