魔法の使い方
 気がつくとレネは暗闇の中にいた。本当は暗くないのかもしれないが、目隠しをされていたのと拉致されたであろう状況に暗闇と表現したくなる。

 彼は視覚以外の情報を頼りに状況を探る。両手には鎖。聞こえてくる自分とは別の鎖の音や息づかいから、他にも繋がれている人がいるのだと理解した。

 その状況に嗚咽を漏らす者や怨み言をこぼす者もおり、声音からほとんどが子供であると推測できる。



 ――だれが、いったい、なんのために。




 考えたところで答えが返ってくる訳でもない。レネは朽ち行く人形のように、その場でぐったりと倒れ込んでいることしかできなかった。
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