魔法の使い方
「ソルバ商会、そこと取引していた地方貴族。そして今回関わっていた貴族は全員捕まった。今回王都まで来たのは、最近の不作で領地から作物を収穫できなかった地方貴族が金を出し渋るようになったかららしい」

 捕らえた者達からの証言をもとに、ヴィオルドは今回の事件の真相を話し始めた。

 当初はいなくなっても気づかれないような身寄りのない娘を狙っていたが、王都の貴族には“みすぼらしい娘”を気に入らない者もいたようだ。結果、レネのように街を歩く娘(彼は男であるが)を狙うようになった。

 ジャメルザ伯爵は地方の別邸へ外遊に行ったとき、ソルバ商会のことを知ったらしい。王都での取引を手引きし、儲けの一部をもらっていたようだ。ジャメルザ家は今回のことで財産没収、爵位剥奪をされるらしい。それ以外に商会から《商品》を買っていた貴族は、地方貴族も含めて多額の罰金を課せられたようだ。

「ソルバ商会はどうなるの?」

 ヴィオルドの話が一区切りついたとき、ミーナが尋ねた。ヴィオルドは一語一語はっきりと答える。

「全員牢に入れられる。40年は出てこられない」
「そう、ならとりあえず安心!」

 彼女は目を輝かせながら笑顔で返した。頃合いを見計らってユリウスが口を開く。

「ミーナ。今回の事件をあちこちの新聞社が記事にしたいらしい。外で記者を待たせているから、取材を受けるかい?」
「え、私に? 受ける! そういえばレネは?」
「ミーナが来る少し前に外へ出てしまってな。あの子はタイミングが悪かったな。彼にも礼を言わせなければ」

 ミーナの問いかけにアデライドが笑いながら答えた。早くレネに会いたいと思ったミーナは駆け足で進む。もどかしげに店のドアへ手を掛けた。
< 46 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop