香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
そう思った時、誰かがドアをぶち破って入って来た。
「ルーカス様〜、大変です!」
男が慌てた様子で入ってくるが、ルーカスは余裕の表情。
「お楽しみの最中だってのに邪魔するな、モーム」
ルーカスは再び私にドレスを着せ、ボタンをしめる。
「すみません!ですが、火事です!パルクレールの兵がやって来たとかで、ジーク様が火を放ったのです!」
ジーク様って誰だろ?
そう思ったが、次のヴィクターの発言で誰だかわかった。
「ったく、兄貴は実弟も殺す気かよ。いくら俺が温厚だって、今回ばかりはさすがに堪忍袋の緒が切れたぜ」
ぶつくさ言いながらルーカスはベッドから起き上がり、私に手を貸して起き上がらせた。
「さっさとここから逃げないとな」
「もう下は火が迫っていて逃げられません」
モームという人の言葉にルーカスはハハッと苦笑いした。
「万事休すだな」
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