香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「聖殿って?」
「王族の冠婚葬祭の儀式をする場所だ」
「そんな近くに異世界に通ずる場所があったなんて。だったら、今すぐ帰れますよね?」
「今すぐは無理だ。異世界へ行けるのは冠婚葬祭の日だけだし、聖殿に入れるのも王族だけだ」
クルミの目を見て説明すると、彼女は俺の腕から力なく手を離した。
「王族だけだなんて……」
「そうがっかりするな。クルミだって俺と結婚すれば正式な王族の一員だ。つまり、結婚式の日に聖殿に入れる」
気を落とすクルミにそう伝えたら、彼女は声をあげた。
「結婚式に入れる……って、その日に花嫁がいなくなったらみんな大騒ぎするじゃないですか?」
「シッ!」
唇の前に人差し指を当てて彼女を黙らせる。
「あっ」と慌てて俺の目を見て口を押さえるクルミ。
この話を他の者に聞かれるのはマズイ。
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