香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
お兄様が私を見て口パクで”綺麗だよ”と微笑む。
一方、サイモンは真面目な顔をしてまっすぐ前を向いていた。
軍楽隊による演奏が始まり、アレンが私に声をかけた。
「さあ、行こうか」
「はい」
アレンと共に聖殿に入場すると、正面奥に彼が言っていた鏡があり、その左側には国王夫妻が、右側には長い髭をたくわえた六十歳くらいの神官が立っていた。
聖殿にいるのは私とアレンとその三人だけ。
厳かな雰囲気の中で式が始まり、緊張で身体が震える。
そんな私に気づいて、アレンが私の手をギュッと握った。
それでいくらか気持ちが落ち着いた私。
神官が経典を手に持っていて、私とアレンが鏡の前に来ると、経典を読み上げる。
そして、誓いの言葉になり、ドッドッドッと心臓の鼓動が一気に早くなった。
「汝、健やかなる時も病める時も……その命ある限り愛することを誓いますか?」
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