香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
ロイドが大きく返事をして部屋を出て行くと、アレンもその後を追うように私を抱いたまま歩き出す。
「あ、あの?どこに行くつもりですか?」
不安になって尋ねると、彼はさも当然のように答える。
「風呂だ。クルミも汗をかいただろう?」
確かにマッサージをして汗をかいたが、また彼に運ばれるのはもう遠慮したい。
「だったらひとりで行けるので大丈夫です」
そう言い張るが、私の主張をアレンはハハッと笑い飛ばした。
「その足で歩けば、怪我が治らないぞ」
「気力で治します!だから下ろして!」
アレンを睨みつけてボコボコその肩を叩くも、彼は涼し気な顔をで私を運ぶ。
「"悪化させる"の間違いじゃないのか。心配だから風呂に入るのも手伝おう」
実に楽しそうに言う申し出る彼を声を大にして断った。
「そんな手伝いなんていりませーん!」
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