香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
さっき彼女が俺にしてくれたマッサージも初めて受けるもので、他国でも見たことはない。
彼女の素性を確かめる必要があるが、果たして本人はどう思っているのか。
寝室を出ると、ドアの前で控えていたネロが俺がクルミを抱き上げているのを見て立ち上がりガォーと鳴く。
多分、俺への抗議だ。
"クルミに何をしているんだ?"と言っているのだろう。
「心配するな。彼女を風呂に入れるだけだ」
ネロにそう言えば、ネロは納得したのか座り込んだ。
「入れなくていいです!ひとりで入れますから」
俺の腕の中で暴れるクルミ。
「昔からのしきたりで王太子は婚約者を風呂に入れることになっている」
誰にでもわかる嘘を言えば、クルミは真面目な顔で訴えた。
「そんなしきたり誰が決めたんですか?今すぐ廃止にすべきです。いいえ、婚約そのものを解消すべきです」
「そんなしきたりはない」
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