香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
ニヤリとして言えば、彼女はポカンとした顔になる。
「へ?」
「だから、そんな婚約者を風呂に入れるしきたりなんてない」
もう一度言うとやっと理解したのか、クルミはキッと俺を睨んだ。
「変な嘘つかないでくださいよ」
「普通は信じないだろ」
ハハッと笑うと、彼女はムッとした顔になる。
そんなやり取りをしているうちに浴場に着き、脱衣場で彼女を下ろした。
そこにはロイドがいて棚の上の籠を指差す。
「アレン殿下、おふたりの着替えはこちらの籠に用意しています」
「ありがとう。お前はもう下っていい」
礼を言ってそう命じれば、彼は「ですが、服を脱ぐ手伝いは私が……」と困惑した顔で言う。
「大丈夫だ。誰か侍女を呼んでおいてくれ。彼女が風呂から出た後の着替えを頼みたい」
俺の言葉にロイドは不承不承といった様子で返事をする。
「はい」
< 45 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop