香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「だったら、ふたりっきりならいいんだな?」
揚げ足を取れば、彼女は顔を真っ赤にして否定した。
「違います!変な解釈しないでください!」
彼女が必死になるのが面白い。
結婚なんてしなくてもいいと思っていたが、彼女が相手なら毎日が楽しいだろうな。



「うちの妹が迷惑をかけたね」
ヴィクターが執務室の窓から見える景色を眺めながら俺に礼を言う。
風呂から上がった後、ロイドの報告を受けて執務室に行けば、親友が待っていた。
早朝に妹のことを知らせたはずなのに、昼の刻前に城に来ているとは驚きだ。とは言っても、ヴィクターにとってはクルミの家出は予想通りの展開だったはず。
俺の彼女に対する感想を知りたくて居ても立ってもいられなかったのだろう。
「いや、予めお前の話を聞いておいて良かったよ」
聞いていなかったら、自分の寝室に彼女を連れ込むことはなかったと思う。
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