香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
机の上で腕を組み、サイモンに命じる。
「わかった。もしジーク国王が出て来たら?」
隣国の王の動向を気にする彼。
「俺が思うに、多分、ジーク国王はこの件を知ってて黙認している。パルクレールが騒ぎ立てるのを承知でな。彼はうちに戦争を仕掛ける口実が欲しいのさ」
俺の見解にサイモンは深く頷く。
「なるほどね」
「今夜、ハーネスに部下を向かわせろ。必要があれば俺やヴィクターも出る」
俺の指示にこいつは真剣な顔で頷いた。
「ああ。もうこれ以上悪党に好き勝手させない」
人一倍正義感が強いこいつの目は怒りに満ちていた。
サイモンが執務室を退出すると、俺も一度ネロを連れ自室に戻る。
ネロは俺が行くところにどこにでもついてくる。ネロが赤ん坊の頃から俺が世話をしていて、俺には絶対服従する。俺のよき相棒で、ネロに何度も命を助けられた。
俺以外の者には懐かないが、基本的に城の者は襲わない。
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