ただ愛されたいだけなのに


 絶望的な気持ちでハローワークを出た。外は滝のように雨が降っていた。気合いを入れて職探しに来たはいいが、雨から身を守る傘は持っていない。唯一の救いはローヒールで来たということだけ。

 ボーッとした頭で空を眺めていると、出入り口でチラシを配っている男が近づいてきた。
「もしよろしければ、こちらをどうぞ」
 笑顔を浮かべているわりに、目が全く笑っていない。
「三ヶ月間の職業訓練です。コースはパソコンの——」

 わたしは男のネクタイをじっと見つめながらとりあえず頷いた。三ヶ月後にはゴールデンウィークがくる。そんなバカみたいなことをしているヒマはない。
「教材費や資格の受験料はかかりますが、給付金が出ますので——」
 男はわたしが熱心に聞いていると思っているらしい。教材費を出して、習いたくもないパソコンを習うおバカさんがどこにいるのよ。いくら給付金が出るからって——なんと。

「給付金?」

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