ただ愛されたいだけなのに



 十九歳にもなって、サンタを本気で信じているわけではない。《ドラえもん》のような友達でもある便利なロボットが、未来には存在するということも信じていない。
 けれど信じたいとは思っている。以前、何かの番組で「人間が想像することに不可能はない」と誰かが言っていた。その人は宇宙へ行けるエレベーターが発明されるとも言っていた。うろ覚えだけれど、わたしは疑うという言葉そのものが頭の中から消えていて、そのエレベーターに乗るにはいくらかかるんだろうと考えていた。

 めんどうなことに、わたしは夢見がちなロマンティックだけれど現実的。だから夢と現実にギャップを感じて嫌になることが多いんだ。

「この職業訓練っての、向こうにプラスはあるのかな?」
 わたしは正紀にたずねた。職業訓練が始まるのは二週間後。それまでの生活費がほんのかなり厳しい状況だけれど、わたしは自由にすごせる貴重な時間をのんびり過ごしている。

「なんで?」
「だってさ、こっちはお金を貰いながら資格が取れるんだよ」
「そういえば、何の資格なの?」
「ワードとエクセル。なんなの、ワードとエクセルって?」
「うーん……まぁなんか、パソコンの基礎みたいなものかな」


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