この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 銀細工の蝶々にサファイアが散りばめられた髪留めは、実際に新品のものだ。ティーナの中でもお気に入りで自然と顔が綻ぶ。


「青色の宝石……。サファイアかな?確かにティーナによく似合ってるね。良いことを知ったよ」

「へ〜え!これサファイアって言うんだ!知らなかった……」


 感心するように頷いたアリサを見て、ルーカスはガックリと肩を落とした。


「……アリサはもうちょっと宝石について勉強しようね?社交界で苦労するよ?」

「え゛っ、無理無理無理無理!!魔石と宝石の違いすらあんまりよく分かってないのに!!」

「魔法が使えるのが魔石で、装飾品が宝石だよ……」

「……見た目ほぼほぼ同じじゃない?」


 確かにそうだけどさ、なんて呆れたような声をルーカスが出すのはアリサだけ。ティーナやその他に向けては、いつも優しげな態度を崩したことなんてない。

 だから、ティーナは感じていたのだ。
 二人の間には入り込めない、と。


「おや?アリサにティーナ。今日もいらっしゃい」

「父上」


 たまたま近くの廊下を通りかかった国王が、子供達に向かって微笑みながら手を振る。ルーカスに見た目も気性もよく似た彼に、アリサとティーナは無邪気に近寄る。
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