この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 むしろ読書とか苦手な方で、三ページ位読んだらすぐに夢の世界に飛び立ってしまうんだよね……。毎年夏休みに出る宿題の読書感想文は苦手だった。

 絶対図書室なんか行かないわ……、と図書室行きを断ろうとして、ふと思いつく。

 意外と些細な切っ掛けで、抜けてしまった記憶を思い出せるかもしれない、と。


「……それじゃあ、お願いしてもいいですか?」

「ええ、勿論ですとも。ーーこの子も連れて行きましょうね」


 ゼルマさんは何度も頷いて、両手でベッドの下から〝何か〟を引きずり出す。


「……猫?」

「ええ、奥様が可愛がっておられます〝ローちゃん〟です」


 随分とふてぶてしそうな猫だ。目付きがとても悪くて、不機嫌なのか眉間に皺を寄せている。

 長毛種、だっけ?あんまり猫には詳しくないのだけれど、真っ白で毛が長かった。そしてかなり重量のありそうな見た目をしている。

 要するに、かなりおデブ猫。
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