この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 極刑にされた理由も書かれてある。
 叛意。ただそれだけ。

 私には、その短い言葉に心当たりしかなかった。


「その様子だと、アリサ()何も知らなかったんだね……」


 ルーカスも何かに悔やむように目を閉じる。でも、次の瞬間には覚悟したようにアメジスト色の瞳を燃え上がらせた。


「父上とアリサを引き離す。アリサ、父上に何か問われても、当たり障りのない言葉で返してくれ。……これ以上は国が傾く」


 ――それから、私達の小さな反乱は始まったのだ。


 私は私のせいで極刑にされた人。そして一族の中から反逆者が出たということで、お家断絶にされた元貴族の人々の存在を全て調べた。
 調べる事は辛かった。
 でも逃げなかった。逃げれなかった。
 自分の罪から目を背ける罪悪感に、押し潰されそうだったから。

 ルーカスは私とティーナにとってお兄さん的な存在であったけれど、この一件で随分と精神的に成熟した。私も必死で後に続いた。もうこれ以上、私自身が無知である事で罪を重ねたくなかった。
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