この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 おじ様に嘘をつき続けた。
 いつかそれがバレるんじゃないかって、私も極刑にされた人達と同じ道を辿るんじゃないかって、ドレスに隠れた膝が震えていた。

 もうルーカスと見た目も気性も似通った、親戚のおじ様は、どこにもいなかった。

 傾国の美女の多くが精神魔法の使い手だ、とはある意味正しいのだろう。自分の事を美女と自称するつもりはないけれど、例えとしてはまさに的を射ていた。

 おじ様は私のせいで、もうほとんど狂っているも同然だったから。

 更に歳を重ねた14歳。
 私はキルシュライト王国の王太子と偶然(・・)出会うことになる――。
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