この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 国王様に馬鹿って言っていいの……?


「なんじゃ、チューする一歩手前じゃったか」

「ちょっ、ち、違います!!」


 雰囲気を察知したらしい国王様が肩を竦めたけれど、ローデリヒ様は椅子を戻しながら必死に噛み付く。顔が真っ赤なので、説得力が全くない。

 なんか図書室の一件を思い出すなあ……。


「若いんじゃから、遠慮なくイチャついて良いんじゃぞ?……ん?ローデリヒ、お主泣いて……」

「泣いてませんから!!」


 目ざとくローデリヒ様が泣いていた事に気付いた国王様は、デリカシーなく触れてくる。ローデリヒ様も最後まで言わせずに途中で強制終了させた。


「それで父上、要件はなんですか?くだらないことだったら怒りますよ」


 半眼になったローデリヒ様に、国王様は口を尖らせる。


「なんか父に冷たくない?のう?ジギスムント」

「あんたは女子ですか」
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