この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 ジギスムントさんの容赦ない突っ込みに、肩を落とした国王様だったが、アーベルがモゾモゾと動き出したのでアーベルをゆっくり床に降ろしてあげていた。


「あーたま!」


 とてとて、なんて可愛い効果音が付きそうな足取りで、私の方へと手を伸ばしてくるアーベル。ローデリヒ様がアーベルを後ろから抱き上げて、私の寝ているベッドに乗せた。


「あーたま、いたいいたい?」

「母様はもういたいいたいないよー」


 伝わったのか、キャッキャと笑いながらぐりぐりと胸に顔を埋めてくる。ギューッと抱き締めてあげると、子供特有の匂いがした。

 私達の様子を恐ろしく真剣な表情で見ていた国王様は、重々しい口調で告げた。


「こやつ……きっと将来相当な女好きになりそうだぞ……」


「何言っているんですか父上」

「何言ってんだあんた」


 ローデリヒ様とジギスムント、冷静な二人の突っ込みが飛んだ。

 本当にこの人一国の国王やっているんだろうか……?
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