この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「これって……」

「まあ、また公表されたら公式にお祝いの品とか贈るよ。楽しみにしていて」


 いけしゃあしゃあと笑顔で言い切ったルーカスだったけど、祝い金と題して賠償金を払ってくるなんて……。

 まあ、私もティーナのドレス汚してるし、これが公になったら王太子妃としてどうなの?って言われそうだし……。ローデリヒ様がティーナのドレスを弁償しようとしたけれど、「自分がドレスを贈るから問題ない」とか言ってルーカス断ってたんだよね……。

 これ、完全に屋敷破壊した事を揉み消すつもりだ。

 アルヴォネンの王太子夫妻がキルシュライトの王太子夫妻の住んでる屋敷を破壊したなんて事が表に出れば、国際問題は免れない。

 ローデリヒ様もその事が分かっていて、大人しくそのメモを受け取った。そちらの方が損害が少ないし。

 ちなみに血にも魔力は含まれるし、魔力は前世の指紋のように誰とも被ることはないので、ルーカスのメモの効力は確実だったりする。


「そちらが未公表の話を教えてくれたから、僕も一つまだ未公表の話を教えるよ」

「何?」


 もったいぶって前置きをしたルーカスに、どうせ大したこと無さそうだなって思いながら先を促す。ルーカスにも伝わったらしくて、「酷いなあ。大事なことなのに」と苦笑しながら軽い調子で続けた。


「僕、近いうちに国王になるよ」

「……それって大丈夫なの?」
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