この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
 ローデリヒ様、未来からアーベルが来てから更に忙しくなったみたいで、全然眠れてないんだよね。本当に大丈夫なのかなあ……。


「あーたま!」


 夜泣きなんてものともせず、アーベルは元気よく私に積み木を渡してくる。正直、この体力はどこから出てくるんだろう……。昼寝してるからか、そうか。


「くれるの?」

「はい!」

「ありがとうー!」


 積み木を受け取りながら、中々取れない疲労感にこめかみのあたりをグリグリと押す。やっぱり同じ睡眠時間でも夜に寝ないと体の調子は良くないなあ。

 何故か私に渡したはずの積み木を欲しがったアーベルに積み木を返していると、知らない男の人が息を切らせて駆け込んできた。近衛騎士団の団服を着ている。


「報告します!ローデリヒ殿下がお倒れになられました!同衾されていた国王陛下のご側室様には問題ありません。宮廷医によるとローデリヒ殿下が飲まれた自作の薬物が一因かもしれないとの事です。ローデリヒ殿下は現在意識不明。陛下がアリサ殿下をお呼びです」


 待って、情報量が多すぎる。
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