この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「……確かにあれは痛ましかったけれど」
「本当に痛そうで、可哀想で……。ベッドじゃなくて、金属のトレイに乗せられた血塗れのあの子を見た時、涙が止まらなかったの。……ちゃんとした姿に産んであげられなくてごめんね、って」
感極まったのか、べティーナの声が震える。やけに生々しくて、ローデリヒは自分の指先が段々と冷えていく気がした。
「だから、アロイスを危ない目に合わせたくはないのです」
「べティーナ。貴女の気持ちは充分理解しているつもりよ。でも、殿下は一人しかいないの。他の側室に子供が産まれればいいのだけど、その様子は全くないわ」
「王族ならば、ヴォイルシュ公爵家のエーレンフリート様が先祖返りなのですよね?エーレンフリート様でもいいのではないの?」
「貴女も知っているでしょう?エーレンフリートは魔力が多すぎて、体を悪くしているって。魔力は先祖返りでも、血は薄れているのよ」
親戚だが、あまり会ったことのなかったエーレンフリートの名前まで出てくる。次いで、ゲルストナー公爵の事が話題に上ったが、現時点ですぐに子供が産まれる可能性はないだろうとハイデマリーが否定をした。
「本当に痛そうで、可哀想で……。ベッドじゃなくて、金属のトレイに乗せられた血塗れのあの子を見た時、涙が止まらなかったの。……ちゃんとした姿に産んであげられなくてごめんね、って」
感極まったのか、べティーナの声が震える。やけに生々しくて、ローデリヒは自分の指先が段々と冷えていく気がした。
「だから、アロイスを危ない目に合わせたくはないのです」
「べティーナ。貴女の気持ちは充分理解しているつもりよ。でも、殿下は一人しかいないの。他の側室に子供が産まれればいいのだけど、その様子は全くないわ」
「王族ならば、ヴォイルシュ公爵家のエーレンフリート様が先祖返りなのですよね?エーレンフリート様でもいいのではないの?」
「貴女も知っているでしょう?エーレンフリートは魔力が多すぎて、体を悪くしているって。魔力は先祖返りでも、血は薄れているのよ」
親戚だが、あまり会ったことのなかったエーレンフリートの名前まで出てくる。次いで、ゲルストナー公爵の事が話題に上ったが、現時点ですぐに子供が産まれる可能性はないだろうとハイデマリーが否定をした。