この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。【完】
「流石にローデリヒ様をボコボコにするのは色々と支障があるかなあ、と頑張りました。アーベルにも悪影響ですし」

「まあそうだな」


 スーピーと音を立てて寝ているアーベルを一瞥する。ぷにぷにのほっぺをつついても起きない位。ちゃんと眠ってくれているようで良かった。

 ローデリヒ様は私の様子を微笑ましく見ていたが、ベットの上に足を上げて胡座をかいた。やや両手を開く。


「おいで」


 アーベルから手を離し、ローデリヒ様に誘われるがままに距離を詰める。けれど、面と向かって行くのは改まった感じがして気恥ずかしい。

 躊躇ったのを察してか、ローデリヒ様の方から手を伸ばしてきた。
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