「ねぇ、シェアしない?」
「はい、かばん」
舞香が紙袋から取り出したのは、ブランドもののバックだった。
「ホントにいいの?」
「いいに決まってるじゃん!それからこれ、可愛いワンピ見つけたんだ。優子にも絶対に似合いそうだったから」
それは、思わず目を奪われるほどおしゃれなワンピースだ。
しかも、超一流のブランドもの。
「あんまり体型かわらないから良かったね。まだ新品だけど、先に着なよ」
「えっ、でもさすがに悪いって」
「いいのいいの。向井くんと久しぶりにデートなんでしょ?これくらいおしゃれしないと」
「でも__」
バックはともかく、まだ1度も着てないワンピースを、買った舞香より先に着るのは気がひける。
いくら達実と久しぶりにデートするからって、申し訳ない。
「私と優子の仲じゃない。色んなものをシェアしたんだからさ」
そう言われると、胸が熱くなる。
あの壮絶ないじめを、2人で乗り切ったんだ。
舞香は私の恩人でもある。
「はい、これくらいどうってことないよ」
「うん、ありがとう」
私は舞香の好意に甘えることにした。
「応援してるからね」
心からの言葉に、さらに心が満たされていく。
ああ良かった。
舞香と親友になれて。