「ねぇ、シェアしない?」


「な、なに言ってんの?」


「とぼけてもだめ。でも優子、そんなことするタイプじゃなかったよね?舞香のせいでしょ?舞香と付き合ってから、優子ちょっと変わった」


「なによ、それ」


「安奈が転校したのだって、なにか知ってるんじゃない?」


「私はなにも__」


「舞香と付き合うの、やめたほうがいいよ」


はっきりと言い切った彩音に、カチンときた。


「舞香のこと悪く言わないで!舞香は、私を助けてくれた。彩音なんて、私を見捨てたじゃない!私は彩音のことも助けてあげたのに、それなのに、それなのに!」


舞香のことを悪く言われて腹が立ったけど、それ以上に彩音の裏切りが許せないんだと、今はっきりわかった。


なにも言い返せないのか、俯いて黙っている。


「もう話しかけないでって言ったでしょ?」


そう言って背を向けた。


その瞬間、彩音と過ごした日々が走馬灯のように蘇ってくる。


喧嘩なんてほとんどしたことがなくて、いつも私たちは一緒だったのに__。


「私は、優子のことを思って」


今にも泣き出しそうな彩音の言葉は、きっと本心だろう。


でももう、遅いんだ。


「私のことを思うなら、カンニングのこと黙っててよね」


それだけ言い残し、私は教室に戻った。


舞香が待っている、教室に。


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