毒壺女子と清澄男子
銀座、朝9時半

来るまでの間に竹虎屋の営業開始時間を調べたが10時まで店は開かない

しかし店の前には既に5人ほど並んでおり、開店を今か今かと待っている

やっぱり早く出て良かったと並びながら新橋にある大手広告代理店の下請けへ電話を掛け、アポイントを取った

続けて日比谷のショッピングセンターの営業部へ電話して、先日納入したばかりの機材に不具合が無いかお伺いを立ててみれば、新機能が使いこなせないと言われた為、午後に行く事を約束

こうした隙間時間を生かさず、パズルゲームへ集中力の全てと安い給料を課金でジャバジャバ注いでIT長者どもが派手に遊ぶ金を産み出しているような前に並ぶサラリーマンを見ると呆れる

パズルをやって何か仕事の為になるのだろうか? と彼に尋ねたらきっと
『論理的思考を養う事が出来るんだ』
と言うに違いない

本当にそうだとしたら、今頃日本は超効率化された社会になるだろう

何もかもが早く進み、無駄なゲームやら無駄な『~活』と名付けられる行動も、彼の前へ並んで自分とはかけ離れた綺麗でスタイルのいいモデル崩れかモドキのインフルエンサーがアパレルブランドと綿密な企画会議をした末にリリースして来る『instic』を眺めているであろう女子大生風の子が履いている竹馬みたいな分厚いコルクヒールも一切この世から無くなるに違いない
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