毒壺女子と清澄男子
ベッドから起き上がり、部屋の壁に付けられたクローゼットの前へ行き、そこに収納されていたバッグからスマホを取り出す
そしてメッセージアプリを開き『銀竜小 56期』といういまだに付き合いのある小学校時代の同級生が数十名で作ったグループルームに入り、あたしの居場所である銀座のセレブ病院の位置情報と『今からここに来られるヤツ、即集合』というメッセージを送信
レスは思ったより早かった
まず真っ先に駆け付けたのは元看護師で現銀座クラブホステスの樹季(キキ)、続いて来たのは新橋のおでん屋で働きながら俳優を目指している勇次郎、更に銀座の丸越デパートで仕事を終えたばかりのデパガの未菜(ミナ)
小さな頃から遊んでいたこの3人が集まればもう安心だ、と思っていたら
「ちょっ、みさと! 妊娠してたの? 」
「お前妊娠したのかよ! 」
「デキ婚でも大丈夫よーうちのデパートのウェディングプランに『Wハッピープラン』があるから」
何で全員が全員、あたしが妊娠で入院したと思い込んでいるのだろう……
下町育ちだが、子供の頃からバカな兄貴のようにはなるまいと堅実に人生設計を立ててここまで来ているというのに
「ちっがーう、妊娠なんかしてない! 相手も居ない! 実は銀座でデカイ外人にぶつかられて頭を打って入院してるだけ」
全力で妊娠を否定した後、明日の仕事の為に何がなんでもここから脱走したいと話すと樹季はまず部屋に備え付けてあるバスルームから洗面器とフェイスタオルを持ち出し、ドアの脇にある面会者用の消毒用アルコールで入念に手を拭く
更にショネルバッグから同じくショネルのポーチを出し、医療用テープと滅菌ガーゼを取り出す
「いつも持ち歩いてるの? それ」
「元ナースがウリなのよ、だから酔っぱらってケガしたお客さんの簡単な手当てとかするの」
そしてメッセージアプリを開き『銀竜小 56期』といういまだに付き合いのある小学校時代の同級生が数十名で作ったグループルームに入り、あたしの居場所である銀座のセレブ病院の位置情報と『今からここに来られるヤツ、即集合』というメッセージを送信
レスは思ったより早かった
まず真っ先に駆け付けたのは元看護師で現銀座クラブホステスの樹季(キキ)、続いて来たのは新橋のおでん屋で働きながら俳優を目指している勇次郎、更に銀座の丸越デパートで仕事を終えたばかりのデパガの未菜(ミナ)
小さな頃から遊んでいたこの3人が集まればもう安心だ、と思っていたら
「ちょっ、みさと! 妊娠してたの? 」
「お前妊娠したのかよ! 」
「デキ婚でも大丈夫よーうちのデパートのウェディングプランに『Wハッピープラン』があるから」
何で全員が全員、あたしが妊娠で入院したと思い込んでいるのだろう……
下町育ちだが、子供の頃からバカな兄貴のようにはなるまいと堅実に人生設計を立ててここまで来ているというのに
「ちっがーう、妊娠なんかしてない! 相手も居ない! 実は銀座でデカイ外人にぶつかられて頭を打って入院してるだけ」
全力で妊娠を否定した後、明日の仕事の為に何がなんでもここから脱走したいと話すと樹季はまず部屋に備え付けてあるバスルームから洗面器とフェイスタオルを持ち出し、ドアの脇にある面会者用の消毒用アルコールで入念に手を拭く
更にショネルバッグから同じくショネルのポーチを出し、医療用テープと滅菌ガーゼを取り出す
「いつも持ち歩いてるの? それ」
「元ナースがウリなのよ、だから酔っぱらってケガしたお客さんの簡単な手当てとかするの」