秘密の同居生活~オレ様副社長の罠にはめられました~
「なんだ。」

京太郎も俺たちの前に座ってコーヒーを飲みはじめた。

「かおりが結婚する。」

一瞬京太郎の動きが止まった。

「へぇ~。よかったじゃないか。これでかおりも幸せになれるだろう。」

コーヒーカップを持つ手が…かすかに震えているように見える。

やっぱり…
それは知らなかったのか…。

「花菱グループの次男坊だそうだ。千石家に養子に入るらしい。千石家にとっては願ったりだな。後継ができるわけだから…。」

「…そう…だな。」

京太郎は蒼白な顔であわてた風に立ち上がると、コーヒーカップをキッチンに運んでいった。

「バカみたいだな。京太郎。かおりは好きでもない男と結婚するんだってよ。」

「そんなこと…わからないだろ?結婚してから好きになるかもしれないし…。」

京太郎はこちらを見ずにひたすらコーヒーカップを洗い続けている。

ガチャガチャと陶器の触れ合う音がいつもより派手に響く。
京太郎が、こんなに大きな音を立てるなんて、あわててる証拠だ。

「昨日かおりに電話したよ。そんなんでいいのかって。そしたらなんて言ったと思う?」

京太郎はそれでもこっちは見ずに今度は洗い終わったコーヒーカップを拭きはじめた。
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