秘密の同居生活~オレ様副社長の罠にはめられました~
え?

あわてて後ろを向くと、木谷くんがいた。

「傘持ってねーの?この雨じゃずぶぬれになるぞ。」

「木谷くん!」

ブスっとして言う木谷くんは、よく見ると、ほんとはそんなに悪い人じゃないのかもしれないと…そのときわたしははじめて思った。

「ごめん。ありがとう。」

わたしが木谷くんの目を見て、まっすぐに言ったので、木谷くんはちょっと驚いた顔をした。

「いや、いいよ。傘入っていく?駅まで。」

「ううん。いい。ただ…コンビニまで入らせてもらえたら助かる。コンビニで傘買っていきたいし。」

「え?まぁ…いいけど。」

木谷くんは一緒に横断歩道を渡ってくれた。
就業時間を2時間ほど過ぎていたのもあり、もうそんなに社員はいなかったから、木谷くんとわたしが相合傘をしていたところでそんなに気に留める社員もいないのは幸いだった。

そしてわたしが傘を買う間に、木谷くんもコンビニで何か買ったみたいだ。

「ごめん。木谷くん。わたし…ずっと話したいと思ってた。」

「え?」

コンビニを出たところで、木谷くんに言うと、こちらを見た木谷くんは一瞬目をそらした。

「何を話すんだよ?俺なんかと。」

ぶっきらぼうに横を向いて言う。

「わたし、木谷くんがわたしを好きだと言ってくれたこと、もっと真剣に受け止めるべきだった。」

そうだ。
わたしだって、副社長が好きで、決死の想いで告白して、とりあってもらえなかったら…どうしようもないほど落ち込むだろう。
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