秘密の同居生活~オレ様副社長の罠にはめられました~
それにしてもなんていいオトコなんだろう…

こんなピンチの時にもかかわらず、見とれてしまうわたしはおかしいのだろうか?

おおよそ平均的な身長のわたしのはるか上から見下ろすスラっとした長身の上に小さな頭部。

くっきりとした二重のアーモンド型の目から放たれるするどい眼光は仕事ができる男であることを示している。

そしてかたちのよい眉、とおった鼻筋、きれいな唇。

それらが絶妙に配置された小さな輪郭に、サラッと綺麗な黒髪がイケメンをさらに際立たせていた。

「どうするもなにもないだろう?そのポタンを早く押しなさい。」

その声の主はエレベーターのフロアボタンの1番下の方にある非常用ボタンを指差した。

威圧的なその話し方は、日ごろから上に立つ者であることを示すものだ。

「は…はい。」

わたしは威圧的なオーラに気おされそうになりながら、あわてて押してみたはいいものの、何の反応もない。


なんだろう?ボタン…壊れてる?

もしかして朝まで閉じ込められたまなんじゃないだろうか…?

「セキュリティー会社は何やってる?」

声の主はイライラしたように言うと、スーツの胸ポケットからスマホを取り出した。
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