秘密の同居生活~オレ様副社長の罠にはめられました~
「まぁ助けが来るまで座ってるか。」

副社長はストンとエレベーターの床に腰を下ろすとあぐらをかいた。

「キミもすわりなさい。葛城(かつらぎ)さん。」

あ、副社長覚えててくれたんですね…

こんな目立たないわたしを覚えていてくれたことにちょっと嬉しくなる。

わたしの名前は葛城夏菜(かつらぎなつな)
宝永商事 管理部経理課に所属する大卒3年目24歳だ。

従来からあまり目立つことが好きじゃなく、会社では長めの髪を後ろでひっつめ、伊達メガネをかけていて、地味子で通っている。

わが社の役員室は最上階である15Fにある。

わたしの所属する管理部経理課は12Fにあり13F以降は役員会議室などがあり、普段一般社員があまり出向くところではない。
役員の経費申請に不備があれば経理課から出向くが、わたし自身も入社して2年とちょっとだけど、数回しか行ったことはない。
緊張する場所なのだ。

今回は副社長の経費申請が不備のあるままワークフローで流れてきたので申請をやりなおしてもらうため、今日のお昼前に副社長室にわたしが出向き説明をしたという経緯がある。

副社長は電話中でかなり相手に怒っているところだったけど、副社長の電話が終わるのを待ってからわたしが書類を見せて説明すると、真摯に対応してくれた。
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